アリセプトやメマリーなどの認知症薬って効くの?
アルツハイマー型認知症薬について勉強する機会があったので、書いておきたいと思います。
介護施設でよく使われるアルツハイマー型認知症薬には以下のようなものがあります。
内服薬として
- アリセプト
- メマリー
- レミニール
貼付剤として
- リバスタッチ
- イクセロン
どの薬も副作用は、めまい、食欲不振、下痢・嘔気などです
現実的にこれらを使用していて効果はあるんでしょうか?
介護施設で考えるならばほとんど効いているのを見たことがありません。
というのも、これらの薬は進行を遅らせる。進行を抑制するタイプの薬で、治療薬ではないからです。
そして、介護施設に入所になる時点で、家族がお手上げになった状態。つまり日常生活を送れなくなったから入所するわけですので、効果を感じることはあまりありません。
どちらかと言えば、睡眠薬で夜間眠ってもらったり、向精神薬(抗不安薬)で言動を落ち着かせたりすることが多いのが現実です。
不必要な薬による虐待というのも問題になっているように、ブラックな介護施設ではひどい使われ方をしています。
不穏な入所者さんに対してしっかり対応するためにはハード面(徘徊防止など)やソフト面(スタッフの数など)の工夫がいるわけですが、ブラックな介護施設ではそのどちらにも予算を割きませんから、薬によって眠っていてもらおうというわけです。
しかし、ブラックな介護施設でなくても認知症の患者さんの対応は難しいですから、多かれ少なかれ薬を使った鎮静などは行われていることです。
この辺りの線引きは非常に難しいですので、勤めている施設がやりすぎだと思うのなら、より良い施設に転職すべきでしょう。見て見ぬふりというのは虐待の一旦を担うことになります。それに何より、そんなところでは介護士としてのスキルが上がりません。
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認知症薬はどういう時に効果があるの?
グラフを見てください。わかりやすく縦をADL、横を時間としています。
このグラフのポイントは、内服していても、していなくても、ADLの落ち切ってしまう時期は同じというところです。
つまり、数か月たてば同じ状態になってしまうのです。そうなるとそれ以上服用してもほとんど無意味になってしまいます。
これが、「認知症の進行を抑制する」という意味です。
一見全く意味がないように思えますが、在宅で暮らしている高齢者にとっては話が違います。
認知症治療薬を使うことによって、在宅で過ごせる時間が少しでも長くとれるからです。ここがこれらの薬の大きな意義と言えるでしょう。
介護施設ではあまり効果がないのは、このグラフでADLが落ち切ったところから入所するからなんです。
(ただし、麻痺などのために入所している方がアルツハイマー型認知症になった場合、これらの薬をしようすることでQOLを少しでもながく保つことができます)
この辺りを間違えて認識していると、認知症の薬が出たのに効かない!認知症の薬があるのに使ってくれない!と言ったことになるので、覚えておいてください。
また、この分野の研究は今後も進んでいくでしょうから、新たな薬が出てくるかもしれません。その時はまたここに書きたいと思います。