身体拘束ゼロ運動は無理?
身体拘束ゼロ運動というものがあって
・4つのベッド柵(四方を囲む形)
・ベルトなどによる車椅子への拘束
などなどをやめようという運動です。
これって結構大きな組織がやってるらしく、府や県がバックについてるんですよね。
というのは別にいいんですけど、先日その研修に行った同期から話を聞いたんですが最近は、
・スピーチロック(「ちょっと待ってね」などと言うこと)をやめよう
・センサーマットをやめよう
ってことになってきてるみたいなんです。
ちょっと、センサーマットのどのあたりが身体拘束にあたるのかちょっと理解できません。
拘束になるのでしょうか?安全性を考えたら別に悪くないと思うのですが…。
たぶん、お役所的な組織がやってるんで
・本人の行動を予測して動く
・見守るスタッフを配置する
などで対応していけということなんでしょうけど、ちょっと無理だと思います。
そもそも、「四方を囲むようなベッド柵がダメなので、壁にベタ付けして2つのベッド柵にしてる」ような状況って意味なくないですか?現実的には四方を囲んでるわけですから。
身体拘束ゼロが無理な理由
大前提として
・ハード面を充実させる
or
・ソフト面(人材)を充実させる
というのがあるんです。
で、どちらかを充実させないと無理だと思います。
例えば
ベッドからの転落防止のためには柵が必要。でもそれだと本人の行動を著しく制限しちゃうので、見回りで対応しよう。じゃあ人材が必要。
人材は施設は入れてくれない…。
この状況が簡単に考えられます。人材はない。柵もない。となると事故が多発は容易に予想できます。
どうして施設が人材を入れてくれないか?については別に書いてますので参照して下さい。
(参考記事:なぜ介護施設はブラック化するのか?)
では、身体拘束ゼロ運動のために事故が増えてもいいんでしょうか?
そんなことは本末転倒です。まず利用者の安全があり、その上で生活の質があります。「マズローの欲求」でも生理的欲求や安全欲求はかなり下位に位置しています。
わたしが言いたいのは、身体拘束OKということではありません。身体拘束は簡単に虐待に結びつく行為ですから基本的には反対ですし、介護士の意識付けも大事なことです。ですが、それで安全面がおざなりになっては意味がないんです。
身体拘束ゼロ運動が指導するべき対象は施設経営者ではないか?
ということが言いたいんです。人材・設備、どちらも鍵を握ってるのは現場職員じゃないわけですから…。